Twitter見てたら、お役所エクセルは時代遅れだなーという話が流れていて、誠に尤もだと思っていた。
ところが、それじゃ何がダメなのというツイートを見かけた。
そういわれてみると確かに「何がダメなのか」を上手く言語化できない。
それに、Excelがダメだって言ったら、この帳票って簡単にWordで作れんのか?
と、いう疑問もわいてきたのでちょっと整理してみた。
まずこれWordで作れるのか?
引用したTweetでも触れているけれど、「エクセル方眼がアカンと言うなら、それ(簡単に)Wordで作れんの?」という話。確かに、Wordって癖があって、思ったように作れないイメージがある。というか、誰もがまずWordで作ろうとして、うまく作れないからエクセル方眼に向かったんじゃないかと思う。
試しにちょっと作ってみようと思って、まず上の元ファイルっぽいのを探した。
「令和6年度入札資格申請書 ダウンロード」でググってパッと出てきた加古川市のフォームを真似てWordを作ってみることにした。
www.city.kakogawa.lg.jp令和6年度入札参加資格審査申請書の受付について|加古川市https://www.city.kakogawa.lg.jp/soshikikarasagasu/somubu/keiyakukensaka/nyusatsusankashikakunitsuite/nyusatsusankashikakushinsashinseinoketsuke/41438.html令和6年度以降の入札参加資格審査申請書の受付を行います。加古川市が発注する建設工事、測量・設計・コンサルタント業務、物品の納入・サービスの提供に係る契約について、入札及び見積合わせ等への参加を希望される方は入札参加資格審査申請が必要となります。(小規模修繕工事を希望される方は、物品・サービス部門で申請できます。)
申請書でも種類が一杯あるみたいだけれど、今回は別に実際に申請するわけでもないので適当に左上の「市内・準市内 建設工事」をダウンロードした。
開いてみるとこんな感じで、Tweetで流れているものと少し違う・・・けどまぁいいか。
これを参考に適当にWordの新規作成からベベベッと作ったのがコレ。10分くらいかかった・・・。
ん~ちょっと難があるけれど・・・Wordのほうが良くないかな?作った本人の自画自賛補正が効いているからかな・・・
どんな需要があるか分からないけど、Wordも貼っとく。
というわけでWordでも似たようなものは簡単に作れるのは分かった。
Wordで作る難点
作ってみて思ったけど、Wordで作るのはいくつか難点がある。
①縦に長くなる
WordとExcel見比べてもらうとわかるけど、Wordのほうは縦方向に余白を詰めるズルをして1ページに収めている。一発目にまずコピペして作ったら1.5ページになってしまって、調整した結果だ。
(まぁ空行でスペース開けるの格好悪いかなと思って、段落書式と表のマージンで余白を作っているせいもある。)
この書式に限らず、Excelのほうが内容を詰め込める・・・気がする。
②捺印欄が難しい
Excelだと罫線で作れるから、1段目の申請者のハンコと、委任先の2段目のハンコの位置を合わせるのが簡単(というか原理上ずれない)。Wordの場合は枠をオートシェイプで書いているので、整列しないとずれてしまう。
というか、今気づいたけれど、Word版の3つ目のハンコ欄の枠ズレている。
そういうのは役所では許されないのかもしれない・・・と思ったけれど、よく見るとExcelの丸も微妙にずれているから、そこまでち密さを求められているのかは疑問でもある。
③数字を入れる枠が作りにくい
数字を入れる枠といのは、この書式の右上のところ。手書きするときにあったら便利な枠が元データにあるのだけれど、Word版では作れなかった。セルを分割するって手もあるんだけれど、そんなことしたらデータで打ち込むときに邪魔だから。
④完璧にExcelと同じものを作るのは非現実的
身もふたもないけれど、Excel方眼と全く同じ印刷結果のWordファイルを作るのは、かなり難しい。
時間を掛ければできるかもしれないけど、現実的ではない。
それでもExcel帳票の良くないところ
①PDFにしたときにA4サイズにならない。
これ昔から解決法が無くて困っているんだけれど、Excelで用紙サイズをA4にしても、PDFクスポートするとA4サイズじゃなくなっちゃうんだよなぁ。
このPDFを後で印刷するとき、Excel製のPDFは用紙サイズを「用紙にフィット」にしておかないと印刷エラーになってしまう。普通のプリンタを使う分には「用紙にフィット」でも良いんだけれど、A3/A4混合印刷(A3のページは印刷してA4サイズに自動で折る)して製本までできるプリンタで印刷するときに困る。まぁ、そんな贅沢な悩みだが。
でも、他のPDFと結合したりするとページのサイズが滅茶苦茶になって困る。
②1ページに印刷が気に入らない
上のPDFサンプルを見てもらうとわかるんだけれど、文字のサイズはお互い同じくらいに見える。
でも、Excelのほうは文字サイズ11ポイントで、Wordのほうは9ポイントで作っている。
画面上では11ポイントで文字が十分に大きく見せかけているけれど、印刷時に用紙サイズに合わせて縮小されるから、実際には9ポイント相当のサイズしかない。文字が9ポイントであることに文句を言いたいわけじゃなくて、「十分な文字サイズ(11ポイント)ですよ」って見せかけて、実際は小さいというのが気に入らない。
このお役所書式はまだ良くって、会社の資料なんか印刷したら6ポイント以下のサイズになるような資料もあって、軽々しく用紙にフィットを使ってはいけない法律か何かを作ってほしくなる。
③画面上と印刷結果が違う
これは有名な話だから長々と書かないけれど、画面上の表示と印刷が異なる。
今回も例えば左が元データで、右がそれを印刷したものだけれど、異なっているのが分かるだろうか?
元データ上では2行目が「受領及び復/代理人の専任に」で改行されているのに、印刷すると「受領及び/復代理人の専任に」で改行されている。
この例では好ましい方にズレているが、実務上は意図しないところで改行されてしまったり、意図しない改行が生じて文字が切れたりと、非常に厄介な問題だ。
Microsoftの公式見解では「Excelは印刷用ではない」みたいなことを言われて、これはバグでは無いとされているから、ずーっと放置されてきた問題である。
Office講座をするようなプロでも、この問題に対して「余白を大きく取りましょう」とか「印刷して確認しましょう」といった解決策しか提示できていない。
というわけで、Wordでも簡単に作れるんだから、Wordで作ってほしい。と思った。
一方で、この書式はある意味「Wordで作りやすい」配置になっている。お役所申請書だと、もっと複雑なレイアウトになっている書式だってある。紙ベースというかDPTベースというか、こういうオフィスソフトで作るという発想無しに、うまいこと1枚にまとめたような書式だ。そのような複雑に入り組んだレイアウトになっているものをWordで作るのは至難の業だ。そういうところではやはりExcel方眼を使わざるを得ない。
そう考えると、この書式はExcel方眼で作られているけれど、思想としては紙よりパソコンで編集する方向に向いてきているような気はする。
あと、Wordで作って思ったけれど、今回は「見えない表」をレイアウトに多用している。
本来は段組とセクション区切りで分けるべきだろうけど、面倒だし思った通りに動かなそうだから・・・
こういうレイアウトを目的とした見えない表というのも、Excel方眼と同じことなのかもしれない。結局道具が違うけれど、私も同じようなことをやっているのかも。
DXの観点からすると、どっちもどっちかもなぁ・・・。