まだ示談中なので細かいことは書かないけど、先週車を運転していて事故を起こした。
具体的には、青信号で直進していたら右折車が右折してきてしまって、ブレーキを踏んでハンドルを切ったんだけど、避けきれずにぶつかった。
私も相手もボケてたんじゃなくて、こちら側の右折車が死角になっていて、お互いの存在に気づかなかった。
右折車のほうは道に慣れていなかったのかもしれない。直進レーンをほぼ塞ぐところまで出てきてしまって、私の方は左に避けたのだけれど避けきれなかった。私の車の右前と、相手の車の左前が激突し、私の車の右側を擦りながら止まった。
お互い怪我は無かったし、エアバックも開いていない・・・んだけど、こちらは右前輪を損傷して、4車線の国道上で動けなくなってしまった。
初めて110番に電話した。まず消防車が一応到着。次にパトカーがやってきた。
保険屋と警察のレッカーの手配が同じ近所のレッカー会社に行っていて、あっという間にレッカー車が来て私の車を積んでくれた。
そのあと相手の車の人と連絡先を交換して、保険屋にお互い連絡して解散。
私はレッカー車に自宅の近所まで便乗させてもらって、とぼとぼ歩いて帰った。
相手の車は前のナンバープレートが吹っ飛んで、前が傷だらけになって、一見すると私の車よりぶっ壊れているように見えたが、自走して帰っていった。(もちろん警察官が確認して自走してヨシとお墨付きを与えたうえでだ)
事故は夜中だったので、車はレッカー会社に預かって貰い、翌日いつも整備に出している中古車屋に連絡した。
まぁいいよってことで、レッカー屋さんに車をその中古屋に持っていってもらったんだけど・・・翌日、「こりゃ修理代200万円以上掛かるかも。もう全損に決まりかな。」と電話が。
えっ、確かにフロントフェンダーは滅茶苦茶だし、ヘッドライトは片側割れているし、前輪は曲がっているけど、そんなにかかる!?ラジエータの液は漏れていないし、エンジン回りは無事だから、100万円くらいかと思っていた。(液体が漏れていたから消防車が来たけど、それは右前輪の上にあるウォッシャータンクが破損したせいだった。こんなとこにタンクがあるのかと驚いた。)
車両保険はもともと200万円くらいしかかけていなかったんだけどれど、経年とともにここまでしか掛けられませんと、ずるずる下がってきて、今年は110万円しか掛かっていなかった。先月更新したばかりだから、更新月が遅ければ・・・って去年も120万円しか掛かっていないのか。
うーん、これは困ったぞ。いくら持ち出しで修理になるんだ??30万円?いや50万円か?
などと悠長に考えていた。
ところが、話が進むにつれて、どうもそういう甘い話じゃ無い様だってことが見えてきた。
車屋曰く、足回りが押し込まれてしまっているから、ボディー修正が必要だと。車屋さんだと曲がっているか曲がっていないか分からないから、曲がっているワって言うかなという思いもあった。もしかしたら、示談金を基に新しい車を買ってくれるかもという打算だってあるんじゃないかなと思っていた。
でも、保険屋さんのアジャスターが見ても「全損」だという。アジャスターも最初は保険屋のアジャスターが行ったみたいなんだけど、そのあとわざわざ地元の調査会社のアジャスターを出しているから、本当にこれで全損なの?って注意して確認したんだと思われる。
その結果として「全損」だという。
となると、本当に損傷が酷くて全損にせざるを得ないってことだ。がーん。
実はこう見えて事故は全くの初めてである。いや、ホイールをガリったり、地面に落ちてた石にエンジンのオイルパンをぶつけたりしたことはあるけどね。
車の買い替え自体もまだ3台目。
1台目はバイト代で買った乗り出し22万円の通学車で、トランスミッション故障で同じ車種の上グレードのものを買ったのが2台目だった。
2台目は20万キロ近く乗ったんだけれど、エアコンが壊れ気味で、ある日コンプレッサーがブローしてしまった。コンプレッサ―はメーカー在庫が無く、いつ生産するか不明だって言うし、仮に中古とかでコンプレッサが手に入ったとしても、ブローした破片がエバポレータとかに入り込んでいるかもしれないから、どこまで交換したら治るか分からんと。
それで買ったのがこのBMWだった。
BMWを買ったのは、2台目のエアコンが利かなかったというのが原因だけど、独身だったらまぁ汗をかいて乗っていたと思う。買い替えたのは結婚したからというのが大きい。
私は独身時代あまり旅行に行かなかった。出張が多い仕事だったのもあるけれど、出身地から遠方に就職したので、泊りでどこか行くような友達も居なかったのだ。
というわけで結婚したら特に旅行とかに行きたいなと思っていたわけだ。すると高速道路を走るし、慣れない道も走る。峠を爆走するのとまた違った感じで事故にあうかもしれないから、家族を載せるなら生残性の高い車が良かろう・・・しかし、大きい車は嫌だ。車は必要十分な範囲で、小さいほど良いと考えていたので、探した結果このBMW 135iクーペにしたのだ。
これはなかなか良い判断だったと今でも思う。カローラより一回り小さいが、重さは1.5倍なのだ。重厚で安定しているけれど、軽快に走った。エンジンは見た目に似合わず、3000ccのターボという、もっと大きい車に乗っているようなエンジンが積んであったからだ。
この外見は凄そうに見えないけど、中身は凄いんだぞというところが、何か秘密を隠しているようで心底気に入っていた。
ただまぁ、あんまり遠くには行かなかったな・・・仙台、草津、山梨、伊豆、館山くらいかな。
やっぱり忙しかった。忙しいと車の移動時間が勿体なく感じるわけ。車だと時間が読みにくいし疲れるから、1日目とか最終日に観光する予定とか、お店の計画とかしにくいってこと。
だから、名古屋となれば新幹線、福岡となれば飛行機、といった速くて時間が読める手段でバンと移動しちゃって、現地で車を使う日を決めておいてレンタカーを予約しちゃう。まぁ、出張と同じ感じ。
となると、そもそも長距離が快適な車が必要だったのか?というのはやや疑問でもある。
まぁそれに、今思うとBMWも古かったから、故障したときにレッカーで戻ってこれる100km圏に絞っていたってのもある。国産車だったら故障しても出先でディーラーで応急修理してもらうことだってできるけれど、BMWだとディーラーの数は限られるし、そもそも高いから出すつもりはない。かといってどこの町工場なら直せるかとかはよく分からんのだ。
そういう事情もあって行先は限られたのだが、BMWで行く旅は優雅で快適なものだった。
そういう訳で、妻との楽しい思い出の側にはこのBMWがあった。
なので突然、修理代が高いから廃車にしなくてはという状況になって、心底ショックだった。
しかも災害ならまだしも、事故で。
終わったことを考えても仕方ないが、保険屋さんと交渉しないといけないから、そこから派生して事故のことを延々考える。
信号は青だというのに、なぜ対向車はトコトコ出てきてしまったのか・・・
しかし私も対向右折車に気づいたのは、本当に直前だった。1秒も無かったと思う。
お互い右ハンドルだから、対向車側からは私の車をもう少し早く視認できたかもしれないけれど、おそらく大きな差は無い。
でも、なんで見える位置になった瞬間に止まってくれなかったんだろう。
そもそも、こちらを見ていなかったのだろうか?
それとも、見えたけど行けると思ったのだろうか?
もしくは、やばいと思って早く抜けようとしたのだろうか?
でも対向右折車も悪いが、私も悪かったのではないか。
私も激突する1秒前くらいまで、対向車は全くいないものと認識していた。
交差点が少し曲がっていて、こちら側に右折のトラックがいたから、対向の右折車がすっぽり隠れてしまっていたのだ。
もちろん、死角が無いように運転するのは無理だし、止まって確認すればよかったなんて言わない。
でも怪しいと思って、普段よりもっと減速するくらいの知恵は働かせるものだったんじゃないか?もし、私の速度が半分だったら回避できたかもしれない。速度が半分なら、減速度が一定なら走行距離は1/4になるはずだからだ。(速度が1/2なら、停車に掛かるまでの時間も1/2になる。速度が1/2というのはすなわち単位時間あたりに進む距離も1/2なのだから、時間も単位時間当たりの進む量も1/2になれば、停止距離は1/4になる。)
この理屈でいえば、半分の速度といわず、1/√2、つまり3割速度を落とすだけで制動距離は半分になったはずだ。
速度が下がれば同じ舵角でも旋回半径が小さくなるから、衝突コースも離れる。相手の動き次第でぶつからずに済んだかもしれない。走
仮にぶつからずに済まなかったとしても、衝突速度が落ちるから損傷はもっと小さくなっていたはずだ。もちろん、空走距離の話とかもあるが・・・
それに、反対側に回避するって手もあったんじゃないか?後続直進車はいなかったから。
でも、トラックと対向右折車の間は2Mあるかないかだから、回避は困難か・・・しかし、こちら側は正面衝突側になるから、損傷は小さかったかもしれない。代わりに相手の損傷は大きくなるかもしれないが・・・。
それ以前に、ダラダラ仕事をしないでもっと早く切り上げていればよかった。いや、あのときもっと遠回りをして帰るルートもあったはずだし、近道もあった。なぜあの時刻にあの交差点を通ってしまったのか。
私の身の振りようで、車が廃車にならず済んだかもしれない。
いやまてよ?本当に車の廃車が惜しいなら、数百万円つぎ込んで直せばいいんじゃないか?お金が無いわけでもあるまいし。
なので自腹で直すこともずっと考えていた。
でも答えはNOだ。いろいろ理由はある。
例えば車屋にも言われたけれど、操舵輪を強く損傷しているのだから、修理しても後遺症が残るかもしれない、いくらかかるかやってみないとわからないという。そうすると、安全にかかわるものだから、仕方ないと。
また、保険屋さんが”経済的”全損というとおり、修理代が割に合わないのだ。ATで良ければ110万円ほどで同じような車が買えるから、110万円で全損ですよと保険屋が言っているのだ。だから同じようなのが買えない程度の修理代なら直したほうが良いけど、同じようなのが買えるなら買ったほうがエエヤンという訳だ。
それに・・・実はなんだか、今後もこの車に乗っていけるだろうか・・・という思いが出てきた。
一つは、実はあれくらいの右折車は回避できると思っていた。だけど、避けられなかった。
それを考えると、いくら高性能な車でも以前のように飛ばすことはもうできないような気がした。
飛ばすことができない以上、高性能な車は維持費がかさむだけだ。
安全性だの快適性だの色々並べたが、10年前ならいざ知らず、現代ではトヨタやレクサスだって古いBMWと同等の安全性はあるだろうし、カローラクラス以上なら135iより安全なんじゃなかろうか。
そう考えると、故障に怯えて遠出を躊躇することもあったし、故障で散々嫌な思いをしたことから、これから古くなればもっと故障するだろうし・・・。この機会に、処分したほうがいいのだろうか・・・。
などと考え、つまり他に選択肢が無くて廃車にするのではない。事故で損傷して修理代が出ないのはきっかけに過ぎず、私は私の意志を以て廃車にするわけだ。私のミスで、私の自分勝手な都合で。
そう考えると、私は如何に無能でケチで自分勝手なのだろうかと、陰鬱な気分になる。
だけど幸運もあった。とりあえずお互い怪我もしなかった。
いくら低速とはいえ、まともに激突していたら捻挫くらいはしていただろう。最低限の回避はできたが、何らかの理由でできなかったことだって考えられる。
(まぁ、私はちょっと腰をやってしまったが・・・まぁスポーツをやっても起る程度のものだと思う。たぶん。)
それに、もし直行道路に信号待ちの車が居たら、右折車にぶつかった反動でその車にも激突していたかもしれない。右折車に弾かれて、停止している車にぶつかるなんて、賠償関係を考えたらややこしいとしか言いようがない。夜間で台数は少ないとはいえ、普段は信号待ちの車が要るから、当時1台も居なかったのは幸運としか言いようがない。
また、相手が普通車だから良かった。これがトラックだったら見落とさなかったかもしれないから、却ってよかったが・・・
でも軽自動車とかバイクだったら?少なくとも大けがはしていたはずだ。
いくら保険で補填されるとはいえ、人をケガさせたら心理的には相当なダメージを受けるだろう。
ま、あと相手車も変な人じゃなくて普通の人だったから、こじれることも無さそうだ。
車が無くなってしまっただけのこと。しかも人生を賭けて手に入れた一生の財産というような車でもなく、余裕金の中から拠出したような、単なる高い買い物だ。無くなってしまったからって、人生台無しっていうようなものじゃない。
それは、分かっているのだが・・・