去年の末に事故でBMW135iが全損になった件、結論から言うとこっちの要求通りの条件で示談できた。
要求が妥当だったのか、弁護士が上手かったのかは分からないけど、一件落着ですわ・・・。
ことの顛末は過去の記事を遡ってもらうとして、背景をまとめると
- 信号機のある交差点で、私が青信号直進中、右折対向車が出てきて避け切れず衝突
- お互い過失修正の無い事故なので、直進2:右折8の過失割合で合意
- 当たり所が悪くて、私の車の修理代は250万円くらい。
- 私の車は2010年式BMW135iで、新車価格は585万円。
ポンコツなので時価58万円(新車の10%)、過失相殺で42万円しか賠償しないと言われる。 - 修理すると相当手出しになる可能性があったので、
自戒も兼ねて廃車にして確実に補填される範囲の中古車を買うことにした。
→2006年式BMW Z4 3.0siロードスターを買った。 - 廃車は専門業者が40万円で買い取ってくれた。
- 弁護士特約で争うことにした。
- 保険屋と最初に相談した弁護士は、「物損の場合は争うだけ無駄」「古い車が新車10%なのを崩すのは難しい」と言ってた。
- 最後に相談した弁護士は、「物損でもこの主張なら通るかもしれないので、訴訟してみませんか」とのことで依頼することにした
・・・という状況だった。
訴訟の準備
訴訟というのは、もう言ったもの勝ちで、どんな要求だってできるらしい。
とはいえ、認められるかは裁判官の判断次第。
あんまり滅茶苦茶言うと心証が良くないらし・・・一方で基本的に大なり小なり歩み寄ることになるから、最低限ラインよりも強気の要求をしないといけないらしい。
どのくらい強く主張するかは、プロでも難しいところらしい。
個人的には金銭的損失よりも、「古い車なら賠償は殆どしなくていい」ってのが気に入らなかった。
古くなると客観的な価値が下がるのは仕方ないと思うけれど、中古で買おうとしても160~200万円くらいで流通している車を、レッドブックに掲載されなくなったら新車10%で52万円だというのはあまりに横暴ではないか。
そしたら、新車を乗り継いでいる人が一番得をする世界になってしまう。それが正義と言えるか?
ということで、「古くても中古車相場で賠償しろ」というところを落としどころにした。
つまり評価額を190万円くらいとして、全損→過失相殺で賠償しろと要求する方向で訴訟の準備に入った。
結局訴訟にならなかった
が、ある日突然、弁護士から「ほぼ希望の条件で示談できそうなので、示談でも良いですか」と連絡が入った。
相手保険会社から、「修理代相当として195万円の損失を認めるから、訴訟は辞めてくれ」って申し入れらしい。
なんだったんだ、あの保険会社の強気の態度は・・・とびっくりしてしまった。
修理代相当額195万円ということは、車両価格は争ったらもっと高いかもしれないが、この辺で手を打ってくれという意味だ。
200万円出せば同じような中古車が買えるのに、どういうわけだぁ・・・??
弁護士はどういう交渉をしたのか詳しく教えてくれなかったけれど、たぶん上手いこと交渉してくれたんだと思う。評価額はこんなに高いし、車以外にもあれやこれやの損害があるわけだからぁ・・・と。
相手方の修理代も掘り返すそぶりを見せたりとか・・・?想像でしかないが。
今回の訴訟で心情的に一番気に入らなかったのは、
「過失相殺以前に、同等の車も買えないような評価額がベースラインで賠償交渉してくるって不義理だよね」
ってとこだったので、トータル額が少しでも高いほうが良いとかってのはあんまり重要じゃなかったから、まぁ、中古車相場で認めるって言うなら良いですわ・・・と示談することにした。
結局損はだいぶ軽くなった・・・
そして示談後、修理代相当の195万円の2割引きから、相手の修理代の2割を引いた過失相殺後の賠償額として140万円ほどが振り込まれて、事件は終了した。
更に弁護士は相当やり手で・・・“修理代相当額”で片付けたので、残った車の差し入れが必要ない。
全損扱いだと廃車は保険会社のものになる。
つまり全損なら、先ほどの40万円で売却したという、この代金も保険会社に渡す必要があったんだけど、修理代相当なので渡す必要が無くなった。
なので実質180万円貰ったことになる。
自動車保険も相手に賠償金を払わずに終わったし、車両保険も使わずに終わってしまったので、等級もそのまま、保険料もそのまま。
弁護士特約とレッカー搬送代は付帯サービス利用なので、等級とか保険料には関係ないらしいのだ。
もともとBMW135iは200万円で購入して、40万円ほど修理していたし、事故の前月に20万円で車検通したばっかりだったから、これでも80万円ほど損してはいるんだけど・・・でも売却しようと思ったら180万円で売れたか?っていうとちょっと厳しそうな気もする。
まぁ損は損だけど、乗り換えの機会として考えたら大儲けかもしれん、とポジティブに考えることもできる金額になった。
勝因①資料があった
まぁ、勝ったと言っていいか分からないんだけれど、要求通りになった理由をちょっと考えてみる。
一つは弁護士曰く時価資料らしい。
自分は神経質だから・・・事故って廃車と決まったら、いくら損が出たのか分析を始める。つまり、カーセンサーとかGooネットで、同じような中古車が幾らだったのか調べ上げて、「あーこんなに損したクソー」というのをやったわけだ。
分析のためにサイトの解説ページを全部印刷してPDFにしてまとめあげた。
こんな感じで。
このPDFを弁護士が見たら「これがあるなら勝てそう」と言ってた。お世辞かもしれないけど。
どうも、裁判をするときに“時価”というのは結局こういう販売サイトの販売ページで考えるらしい。こんなWEBサイトのスクリーンショットなんて価値が無さそうだが、そんなことは無いらしい。
こんなもの幾らでも偽造できそうだが・・・まぁでも確かに、お店の電話番号とか全部載ってるんだから、何件か電話して確認すれば真偽などすぐわかるわけだし。
そこでこういう販売ページの資料が議論の根拠になるらしく、お互いにカーセンサーとかのページを武器にして戦うらしい。意外と原始的で面白い。
ここで、お互い主張が食い違ったとき、“事故日に近い”資料のほうが圧倒的に強いのだ。
どういうことかというと、相手の保険会社は“安い車の販売資料”を掲げて、「こんなに安いのだってあるから、これでもいいじゃん!」と主張してくる。でも、古い日付の資料一式があったら「いやいや、それは最近の話であって、当時はこういう売り出ししかなかったんだから、当時は高かったんです」と突っぱねられるらしい。
私の資料は事故の三日後に収集したものだった。
相手の保険屋や弁護士は訴訟の気配が出てから資料を集めるから、絶対に数か月後のモノしか持ってない。それより絶対的に事故日に近い資料があったら、圧倒的に有利に戦える・・・と言ってた。
今回はカーセンサーだけじゃなくグーネットとかヤフオク!のデータも女々しく集めてた。これも強かったらしくて、相手が「カーセンサーではこうだけど、グーネットでは・・・」って言いだして日付の弱さを挽回しようとするらしいけど、それすら封じられると。
この古い資料一式があれば一方的に叩けると・・・なるほど、何が役に立つか分からんものだ。
②脅しじゃなく本当に訴える
もう一つの勝因は、マジで訴訟しますわ。いくらでも時間かけてどーぞ。・・・という態度かな。
やっぱり、訴えられるのは誰もが嫌らしい。
そして訴える訴えると言って、本当に訴えてくるのは稀らしい。
だから、大抵の場合は時間を引き延ばせば訴えられないことが多いらしい。
訴訟は凄く時間がかかるから、特に自動車事故などは修理代の先払いとかも心理的に凄く負担になるし、判決が出るまで一切賠償を受け取れないどころか、弁護士費用の建て替えもしないといけない。
それでいて勝てるか分からんと来るから、普通の精神なら訴えるのが難しいらしい。
ところが私のように、事故車を処分してつなぎの車を買って、もう何年でものんびり争いますわ・・・
「数十万円が惜しいわけじゃなくて、気持ちの問題です」みたいなサイコは、保険会社をマジで訴える場合も多いらしい。実際そうだったし。
弁護士を全く急かさずに、「あ~2~3年くらいで決着つけば御の字なんで、好きなペースでやってください。もっと掛かっても良いですよ。」って放置してたのも良かったかも。弁護士が保険会社に連絡を取るペースもすんごい間延びさせたりして、マジでこいつら急いでない=訴訟するかもって思わせられたとかあるかも。
勝因③弁護士選び
弁護士もピンキリ。
今回は殆どの弁護士も保険屋も、「物損で争っても無駄。中古車は本人しか価値を感じない。客観的に見たら10%出るだけマシ」と言って譲らなかった。
結局、彼らも資格を持っているだけで、烏合の衆の一人でしか無いのだ。
実際に戦ったことがあるのはほんの一握りで、あとは戦いもせず一般論で凌いで暮らしているだけ。
今回戦ってみましょうって言って実際勝った弁護士は、離婚調停が得意という若い女性の弁護士だった。交通事故専門で実績多数というイカツイおじさん弁護士とかに比べて頼りなかったけど・・・見た目では分からんものだ。彼女は本物の戦士だったようだ。
弁護士は大抵30分の無料相談が付いているから、弁護士ドットコムとかに課金して探し回って、片っ端から相談して感触をつかんだほうが良い。課金っていっても2か月もあれば弁護士見つかるから、見つけてすぐ解約すればよくって、千円くらいの出費にしかならない。
あーしかし、こんだけ賠償金出るなら、車取っとけばよかったなぁ・・・Z4も良いんだけど、マニュアル車が欲しい・・・