こんにちは。
前回はひとまず作例を紹介しました。ある程度慣れればあのような大物も作れるということで、興味を持たれた方が要れば幸いです。正直なところ、難しいことはないのですが、私が作ってきた過程で多少の試行錯誤を行いました。その辺の基本的なノウハウを記載したいと思います。
材料はコツもくそも無いのですが、話の順序の都合で先にしたほうが良いので、一旦紹介します。
ツーバイフォーって何か
まずツーバイフォーですが、2×4(ツーバイフォー)工法で建設される住宅用の、木材の規格の総称です。
ツーバイフォー工法については詳しい解説がいろいろあるので、私のところでは詳しく触れません。
とはいえ一言でいうと、ツーバイフォー工法では角材で枠を作って、合板を貼った“パネル”を組み合わせて家を組み立てるのですが、この枠を作ったりする角材がツーバイフォー材です。
なぜこれを使うかというと、
・どこでも手に入る
・まぁまぁちょうどいいサイズ
・そこそこ安い
だからです。
一応、ツーバイフォー以外の角材にも規格があるんですが、非常に種類が多いので、どこのホームセンターにも必ず全部そろっているわけではありません。また、将来的に手に入るかも確証がありません。
でも、2×4-6Fと1×4-6Fなら殆どのお店に置いています。
(細かいことを言うと、お店によって質の良しあしはあるのですが・・・)
木工で面倒くさいのが、材料に何を使うかです。選定するのも面倒だし、選定したものを探し回るのも大変です。もう、2×4-6Fと1×4-6Fを使うと決めちゃえば楽です。
ツーバイフォー材の寸法
寸法はもう単純で、断面の縦サイズ x 横サイズ – 長さ です。
断面サイズは1,2,3,4,6,8とあり、厚み×幅です。
ここでちょっと面倒くさいのが1,2,3,4の実寸は以下の通りで、比例していないことに注意です。要は2×4を2個重ねても4×4になりませんよということです。
長さは3,6,10,12フィートが一般的です。
mmに直すと、910mm、1820mm、3050mm、3650mm です。
お勧めは6f( 1820mm )です。長ければ長いほど、材料を切った時の端材が無くなりますが、搬入が難しくなります。
一般的にドアの高さは1800~2000mmなので、ほぼ垂直で搬入しても当たらない計算です。10f( 3050mm )以上にしてしまうと、水平方向に倒して運ばねばならず、一人でぶつけずに入れるのは難しいからです。
また、トラックかバンのような貨物車が使えればいいですが、自家用車が乗用車の場合は1800mm程度の長さのものしか詰めない場合があります。私が乗っているコンパクトカーだと、1820mmでギリギリです。
ツーバイフォー材の値段
まぁそれはさておき、どこでも手に入って値段もまぁ安いということです。
おおよそ
1×4-6F (19mm×38mm×1820mm)で¥198~¥298
2×4-6F (38mm×89mm×1820mm) で¥298~¥498
くらいですね。値段に大きく開きがあるのは、お店によるところと、質の問題です。比較的質が悪いものを扱っているお店は安かったり、質のいいものと悪いもので値段が違ったりします。
買うときの注意点
質の話に触れたので、ちょっと早いですが注意点も書いておきます。
ツーバイフォー材は何度も繰り返した通り、本来見えない所に使う材料なので、表面材としては多少難があります。
これを家具の表面材とする以上、買う側が注意して選定する必要があるのです。(後述の問題をお店側に言ってはダメ/無駄)
注意①:ヤニツボ【要注意】
いろいろあるんですが、ヤニツボは初心者の要注意ポイントです。ヤニツボというのは、ヤニという樹液が入っている部分です。私は避けて買っているので、あまり派手なのが手持ちになかったんですが、例えば下の写真のようなものです。
割れ目のように見えるのがヤニツボで、セメダインみたいな液が入っています。これはもう固まっちゃってますが・・・固まっていないものが多いです。
塗装する際に問題になるのですが、私がより重大だと考えるのは、壁紙に付着しちゃった時です。このヤニツボ側を壁側にしてしまうと、壁紙に張り付いてしまって、取れなくなる恐れがあります。
従って、ヤニツボがある材を買ってしまうと、組立の時に非常に気を使うことになります。
注意②:ねじれ【要注意】
ツーバイ材も木材なので、カンペキな直方体状ではありません。ですので、あまり細かいことを言わずに作るしかないのですが、ねじれてる材料だけはやめといたほうが良いです。
ポンと売られている状態では見分けにくいのですが、どれも必ず変形していて、大別すると
・ねじれ
・まがり
・そり
の何れか、あるいはその複合になります。
このうち、曲がりと反りは、組立の際少し気を付ければ、大きな問題にはなりません。(油断すると作品が歪みますが…)
厄介なのはねじれです。ねじれている材を使ってしまうと、作品自体が捻じれがちです。
曲がりと反りはしょうがないですが、ねじれは補正が難しいので、捻じれている材料は買わないほうがいいです。
注意③:節(フシ)
木材には節があります。節というのは枝の根っこだったところです。
まぁ、年輪の一種だと思ってデザインに組み込めばいいのですが、2つ注意点があります。
一つは抜け節といって、材に枝の皮の部分が巻き込まれているものです。このようになっていると、節と材の間に溝が出来たり、節が取れて穴が空いたりします。
(大きい抜け節は避けるので良いのが無かったんですが・・・例えばこの写真です。縁に抜け節があって、節穴ができました。)
もう一つの注意は、節は硬いってことです。切るにしても穴をあけるにしても、普通のところに比べると非常に苦労します。
作る対象が小さいものだとか、切断が多くなりそうなときは、¥100ほど値段が高くても節がない物を選んだほうが楽です。
でも、節がない材にこだわる必要はないと思います。
注意④:表面仕上げ
最後に、表面の仕上げも注意です。例えば食器棚の扉など、意匠性の高いところには、なるべく綺麗な材を使いたいと思います。
お店やロットによって、かなりバラバラです。見るからに汚れが付着しているもの、キズが付いているものは分かりやすいのですが、触ってみるとザラザラの材などもあります。
私は千葉に住んでいるので、近所のお店しか紹介できませんが・・・とりあえずジョイフル本田がおすすめです。
ジョイフル本田は、綺麗で値段の高い材と、安い普通の材を置いています。私はきれいに仕上げたいところだけ、高い材から選ぶようにしています。
ツーバイ材で全部こなそうとしない
なんか矛盾してますが、最後にアドバイスとして、ツーバイ材で全部何とかしようと考えないことです。
ツーバイ材は最も薄いもので19mmですから、これより薄いものが欲しいときは別の材を買ったほうが良いです。
また、テーブルトップ等の平面が欲しいときも、無理にツーバイ材を並べて作らず、板を買ったほうが良いです。
具体的には・・・
箱の底はシナ合板5mm
例えば、箱や引き出しの底は シナ合板 と呼ばれる板がおすすめです。3,4,5mmあたりが一般的です。
薄くて切りやすく、ある程度粘りがあるので使いやすいです。
小さな天板は合板12mm
ちょっとした天板は12mmの合板がおすすめです。合板も12mmくらいあると、ある程度強度があるので、これに直接足をつけて家具としても成り立ちます。
また、12mmの合板には“プリント合板”という種類のものがあります。これは表面にビニル等の表面材を貼り付けたものです。僅かに合板より高いですが、材としては安いです。汚れを簡単にふき取りたいところなどには、プリント合板がおすすめです。
テーブルはパイン集成材15mm
パイン集成材は、小さい木を接着剤でくっつけて板にしたもので、大抵のホームセンターに置いています。
合板やツーバイ材とは比較にならないほど、寸法精度が良いです。つまり、反りや段差がなく平滑です。
普段触れたりする部分にはパイン集成材を使うと、雑なDIYでも素人をだませます。問題はちょっと高いことですな・・・900mm×450mmで¥3,000くらいします。
1×4-6Fなら半分に切って3(2.5)本で作れるわけですから、¥600くらいでできちゃうのに比べると高いです。でも、手間と仕上げの良さを考えると、集成材のほうがおすすめです。
まとめ
ホームセンターで木工をされている方ならツーばい材が入手性が良いことはご存じかと思いますが、一般的にはあまり知られていないのではないでしょうか?
私は祖父が大工だったことや、小学生のころ木工クラブに通っていたこともあって、それなりに木工に親しんだ人生を送ってきたほうです。しかし、木工というと大抵ベニヤ板(合板)か杉板が材料なのです。
ですので、ツーバイ材に触れるようになったのは、つい4・5年前に角材を探しに行ったときなんです。そういうわけで、まずツーバイ材が安くてどこにでも売っている(下手するとベニヤ板より入手性が良い)材料であり、それを材料にした木工というのをまず確認したかったわけであります。
おしまい