スクリューコンベヤ

いつもウォッチしているブログに取り上げられていた、「株式会社谷口製作所」ってところ腕が良さそうだ。個人で頼むことは無いけど、仕事で困った時ようにメモ・・・

スクリューコンベヤとは

スクリューコンベヤとは、いろんな名前があるんだけれど・・・アルキメデスのスクリューみたいに、円筒の内部にらせん状のスクリューが入っていて、らせん部を電動機なんかで回すことで中に入ったものを搬送する装置のこと。

搬送は基本的にベルトコンベヤが一番簡単なんだけど、ベルトコンベヤに適さないものに利用する。

自分の仕事だと飛びやすい・こぼれやすい物はスクリューコンベヤのほうが良い。
(灰とかセメント、リサイクルプラスチックや木質ペレットとか)
これは、スクリューコンベヤのほうが、ベルトコンベヤに比べて密閉構造にしやすいからである。

また、ある程度定量性が欲しい場合にも利用することがある。
定量性というのは、貯留している容器からなるべく一定量ずつでてくるようにすることで、貯留容器から計量容器に移すときなんかに考慮する。いっぱい入っているときはドバっと出るようでは困るから。
定量切出しはベルトコンベヤでもできるんだけど、2つ弱点があって、1つは摺り切り部分の詰まりや引っかかりの対処が難しい原料があること、もう一つはベルトの横方向に漏れないようにするスカートの耐久性と漏れ量のバランスが難しいことがある。
そんなこんなで、スクリューコンベヤ方が楽ってこともある。

あんまり使わないのは・・・

しかし、自分的にはあんまり歓迎しないんだよなースクリューコンベヤ。
なぜかって出来が悪いことが多いからだ。

スクリューコンベヤは基本的に出荷前は無負荷試運転しかしないから、原料を入れるといろんなトラブルが起こる。トラブルは3種類あって・・・

1つは隙間が大きすぎてフラッシングするケースだ。フラッシングというのは、スクリューコンベヤの回転を止めているのに、少しずつ内容物が出てきてしまう現象だ。
セメントとかのように細かい粉体の場合、条件が揃うと液体のようにふるまうので、隙間の大きいスクリューコンベヤの場合は隙間を通ってどんどん出てきてしまう。
ヘタッピなところに頼むと隙間がガバガバだったりする。

まぁ、スクリューコンベヤ単体で止められるとは最初から考えていないので、後段に閉鎖装置(ゲートとか)を設けるんで多少漏れるのは良いんだけど、ダダ洩れになるとゲートまでの配管にパンパンに搬送物が詰まってトラブルを起こす。これは原料入れて動かさないと分からないし、この現象が起こっているか明らかになるまで制御プログラムの問題(スクリューの停止とゲート閉鎖のタイミングが悪い)とか言われるから厄介な問題だ。中見えないから。

2つ目はスクリューの出来が悪い問題だ。スクリューの剛性が低かったり、アンバランスな造りになっていることが良くあって、無負荷だと軽く回るんだけど、原料が入るとスクリューが曲がって外筒にこすれたりするのが良くある。
酷いと一度も原料を入れていないときの無負荷回転電流と、一発原料を入れた後の無負荷回転電流が違ってエラーになることもある。モーターの定格電流を超えるくらい負荷が重くなったりとか、ホント電気系トラブルの種になる。

3つ目は搬送量が計画と異なる場合が多々ある。
ベルトコンベヤもそうだけど、理論搬送量というのは設計段階で計画している。このくらいのペースで運ぶようにと。多すぎても少なすぎても困る。
スクリューコンベヤの場合は定量性を期待するので、欲しい搬送量に合わせて羽の数とか外筒の径を決めて一品モノで作ってもらう。

ところが、大抵は合わねーんだなこれが。合う場合もあるけど。
たぶん、充填率と隙間から漏れる量の見積もりが難しいのと、供給側の受け口の働き具合とか、まぁ色々な要素が絡むんだろう。酷いと2倍くらい出たりする。

これは回転数を買えればいいので、スクリューを回しているスプロケット(大抵は自転車のようにチェーン駆動なのだ。)を交換すればいいんだけれど、メカ設計は損を隠そうとするから、大抵インバータで対応する。
制御盤改造するの馬鹿馬鹿しいから、新規案件は基本的スクリューコンベヤには最初からインバータ付ける設計にしている。しかし、そのせいで余計搬送量の見積もりが雑になっているきらいがあって、対応するのにモーター励磁周波数を6Hzにしてくれとか、120Hzにしてくれなどということがある。

モーターは基本的に60Hzで一番効率が良いように設計されているので、せいぜい40~80Hz、頑張って20~100Hzくらいで使うものだ。6Hzなんて一応回るけど効率は最悪。一応耐えられるとはいえ、冷却用の外扇(モーターは負荷軸と同軸で冷却ファンがついてる。昔のエンジンみたいに)が殆ど死んでいるから、耐熱ギリギリで使うことになって寿命的にも悪い。

そんなこんなあって、スクリューコンベヤはあまり好かない。

スクリューコンベヤは腕の差が出る

でも、出来が良い場合は何のトラブルもないし、荷こぼれとか気にしなくて良くて、凄く便利なのも事実。消耗も少ないから、ラニングコスト的にも良いし・・・

上にあげた問題点の99%は「造りの良し悪し」の問題だからなぁ。

だから腕がいいところで作らせるのが大事なんだよなー。でもうちの会社は一番安いところに作らせるから、こうなるんだろうなぁ・・・なんとかならんのだろうか。

例えばスクリューコンベヤ製造認定資格みたいなのがあったりすれば、その資格に適合していることを調達条件にピッと入れちゃって、ヘタッピなところに発注されるのを防いだりできるんだけど。

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