3Dプリンタでシリカゲルを乾燥させる簡単な方法

結論から言うと、シリカゲルを再生させるのは、3Dプリンタの加熱ベッドを使うのが一番簡単だった・・・。どこにも載ってないけど。


何でシリカゲルを再生させたいのかってところから順を追って話すと・・・。

3Dプリンタの原料として使うひも状のプラスチックをフィラメントと呼ぶが、これが空気中の湿気を吸うと、印刷時に色々悪さをするようになる。

空気中の湿気を吸ってしまった場合、フィラメントドライヤーという装置で数時間高温環境に置いておくと、ある程度湿気を抜くことができる。最近、フィラメントドライヤーを買ったので、少し湿気ったかなという感じになってきたら、このマシンで一発パンチを入れると印刷が良くなる。

とはいうものの、フィラメントが最初から湿気らないに方が良いに決まっている。

以前は除湿剤を入れていたのだけれども、専用に除湿剤を買うのではなく、何かに入っていた除湿剤を放り込むという適当具合で、次第にやらなくなってしまった。

最近3Dプリンタの調子が悪いので、フィラメントを除湿保管しておくかと重い腰を上げた・・・。


除湿保管する方法は・・・保管エリアを除湿することである。(新次郎構文?)

一番簡単なのはドライボックスと言って、除湿器が付いた専用の箱(装置)を使うこと。最近ではフィラメント用もいろいろあるし、昔からカメラとか時計を保管するために存在している装置なので、それ用を転用したり中古で探してもいいかもしれない。

でも、そこまでじゃないかなってなると、密閉容器に入れて除湿剤ってのが簡単だと思う。
ただ、除湿剤となると使い捨てなのが気になる。お金の問題より、定期的に買って、定期的に捨てないといけないのがなんか嫌だ。

そこで一つの解決策として、シリカゲルを容器に入れて使い、湿気ったら再生させるという方法があり、わりと一般的なようだ。

再生っていうのは、シリカゲルは通常時は空気中の湿気を取り込むが、ある程度高温になると取り込んだ湿気を手放してしまうらしい。それを常温に戻すとまた湿気を吸うので再利用できる。これを再生って呼ぶようだ。


うちには幸い、使用済みのシリカゲルが大量にあった・・・。
これは結婚式の花をドライフラワーにするときに使ったもの。

結婚式の花・・・つまりブーケなんだけど、これって2種類ある。挙式の時に使うやつと、披露宴の時に使うやつだ。結婚式の後、ブーケは捨てるわけだが・・・せっかくだし記念にとブーケをドライフラワーにしてくれるってサービスがあって、挙式の時に使ったやつはドライフラワーにしてもらった。花も結構お金かかったしな・・・でも、一個10万円近くするので、披露宴のほうはDIYでドライフラワーにしたわけだ。

ドライフラワーで比較的失敗しにくいのがシリカゲルを用いた方法だそうで、数千円分のシリカゲルを使用した。そして使用後も、なんかもったいなくて保管していた。
(しかし、10万円もしただけあってプロが作ったのは5年以上経っても持っているが、DIYのやつは1年でだめになった。)

で、私の場合シリカゲルはあると。じゃあ再生ってどうすんの?と、再生方法について調べると

①フライパンであぶる
②電子レンジでチンする
③オーブンで焼く

webで調べた限りはこの3択である。が、どれも正直やりたくなくて困っていた。

①のフライパンのほうは、うちのメインフライパンはテフロンのものだ。テフロンだと加熱し過ぎるとコーティングが痛む。コーティングが悪くなって捨てるフライパンもあるんだが、そもそもテフロンを高温にしすぎると有毒ガスが生じるという噂だ。

私自身はテフロンの危険性に多少懐疑的なところはあるが、でも敢えてヤバい橋を渡りたくはない。

②の電子レンジでチンは一見お手軽簡単な気もするが・・・実は電子レンジで水分量が少ないものをチンするのはあまり得策ではない。電子レンジはマイクロ波を照射して対象物を温めるわけだが、より細かく言えば照射したマイクロ波が食品中の水分に吸収されることを利用してエネルギーを渡している。
このため、水分が無いとマイクロ波の行き場が無くて、マグネトロンに返ってくる。このせいで、あんまりやると電子レンジが壊れる/痛む。
シリカゲルの水分量はよくわからんけど、多分大した量ではないはず・・・従って、電子レンジはあまり使わない方が良いんじゃないかと思う。

③じゃあオーブンか・・・しかし、オーブンは予熱に時間が掛かるし、いろんな意味でエネルギー効率が悪い。

うーん、①に戻って、フライパンじゃなくスキレットを使うか?しかしスキレットは油がしみ込んでいるしなぁ・・・などと悩んでいた・・・。


さらにシリカゲルについて調べていくと、80~100℃を大きく外れると、シリカゲルの構造が急速に破壊されるだのあって、非常に面倒。非接触温度計を借りてくるか・・・温度を測る装置、狙った温度にする装置、ホットプレートみたいのががあればなぁ・・・。

ん?まてよ?あるじゃない。一定の温度にする装置。

3Dプリンタの加熱ベッド。

ABSを印刷できる機種の場合は、ABSが反って剥がれない様に、ビルドプレート部分を100℃くらいに加熱できる。ABSの印刷温度は240℃で、ビルド温度は大体110℃くらいだからなぁ。
だから、下手な装置より狙った温度ピッタリにできるのは3Dプリンタの加熱ヘッドである。

物は試しで、メンテメニューから余熱モードにして、ビルドプレート目標温度108℃、アルミホイルを敷き、シリカゲルを広げてスタート…

はてさてこんなもん効果あるんかいな・・・と思って5分ほど席を外して戻ってくると

ピンク色一色だったシリカゲルが、8割がた青くなっていた。成功だ!
当たり前の結果なんだけど、ちょっとびっくりした。


と、いうわけで、シリカゲルを再生する簡単な方法。
3Dプリンタのヒートベッドにアルミホイルを敷いて薄く広げて、100℃前後で予熱して10分待つ

①~③より圧倒的に簡単なはずだ。

シリカゲルの再生といえば3Dプリンタなんだから、プリンタ持っている人なら、フライパンだの電子レンジだの言わず、一番簡単な方法なのに、なんで上のほうに出てこないんだろう?不思議だ・・。

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