自分が135iで事故ったときの知見をまとめておく。
要点
事故対応の前後で認識が変わったこと。
(つまり、初めて事故を起こして不安に思ってこのページを見た人も、同じ勘違いをしていそうなこと。)
- 物損事故でも弁護士特約は使うべき。特に全損の場合。
- 全損評価額は保険会社はレッドブック/新車10%を出してくる。
弁護士を入れない限りこれをひっくり返すのは難しい。 - 逆に言えば弁護士次第でひっくり返る。
- 全損評価額は保険会社はレッドブック/新車10%を出してくる。
- 弁護士も千差万別。根気よく探すべき。
- 弁護士も得意不得意や、どんな規模間の仕事をやりたいかは様々。
一人ひとりいうことも違う。 - 多くの弁護士は30分の相談は無料としている。
一見短そうだが、相談内容の資料を作って状況やこちらの意向を短時間で伝えれば、この時間で弁護士の見解は十分に引き出せる。
- 弁護士も得意不得意や、どんな規模間の仕事をやりたいかは様々。
- 弁護士特約を使う場合、弁護士の報酬体系が異なる。
- 通常は弁護士の報酬は、基本+成功報酬なので、少額の場合ものすごく安くなる
このため、我々頼む側からすれば少額だと請け負ってくれないと予想する。 - ところが、実際には少額の場合は「上限までの実費」という報酬形態になる。
- このため成功報酬見込みが僅少でも、賃仕事としてやってくれる弁護士もいる。
- このため成功報酬見込みが僅少でも、賃仕事としてやってくれる弁護士もいる。
- 通常は弁護士の報酬は、基本+成功報酬なので、少額の場合ものすごく安くなる
- 相手保険会社の合意を取れれば、示談前に事故車を処分できる。
- 事故車の保管には費用が掛かる。
- 一般に「証拠の保全」のため、事故車は処分できないと言われているが、物損の場合は写真撮影等で証拠の保全が図れると判断されるらしい。このため、相手方は処分を拒めないし、拒んだ場合保管費用を請求される可能性があるから、処分は認められることが多いらしい。
- 事故車も意外と高く売れる。
- 弁護士特約とレッカーだけで、車両保険を使わず、賠償保険を使わない(相殺後の支払いが発生しない)場合、保険不使用事故になる。
- この場合、等級も下がらないし、事故あり料金にもならない。
事故の詳細
事故
事故は2023年12月1日。残業で深夜になった帰り道。
大きな通りに直行する交差点を、青信号で直進している時に対向右折車と衝突したという事故。
ここの交差点は普段ほとんど交通量が無いんだけれど、この時はたまたま対向の交通が多くて、右折レーンで大型トラックが右折待ちしてた。
その陰の対向車線にヤリスクロスが右折待ちしていたんだけれど、トラックの陰になって直前まで見えなかった・・・
向こうは県外ナンバーで道に迷っていたみたいなので、曲がった先の方をずっと見ていたよう。右折するなら右折した先より対向車を良く見てくれよぉ。
ヤリクロがこっち見てないことに気づいて、急ブレーキと左ハンドルを切ったんだけど、相手は全然止まる気無い感じで追尾されて衝突。
左旋回中に横からノーブレーキでぶっこまれたので、直交の右折レーンに押し込まれる。
相手は自走できたのでバックでわき道に。
こちらは足回りをやられて走行不能。
このBMW135i・・・ヤリスクロスより小さいのに、135iは1.6トンもあるクソ重い車なのだ。(ヤリスクロスは1.1トンである)
このおかげか、外装は派手にぶっ壊れたけど、乗ってる方はさほど凄い衝撃では無く、エアバックも開かず大した怪我もしなかった。
ヤリクロはフロントが大破していたけれど、フロントを全面使って均等に当たったので、自走できないような損傷はうけておらず、エアバックも開かなかった。
というわけで、お互い物損で済んだのが幸運であった・・。
(もしタイミングのずれで、こっちが横から突っ込んだら・・・重くて面積の小さい135iが、ふかふかのヤリクロに銛のようにめり込んでいって、助手席の人は死んでたかもしれない・・・)
全損
レッカーでドナドナされて、翌日は購入してから整備を頼んでいる中古車屋に入庫。
修理見積してもらったら「見積するまでも無く廃車。見積料もただじゃないんで、するだけ無駄。」という感じ悪い感じ。
保険屋のアジャスターも修理額は200万円以上、時価は40万円だから全損と言う。
ネットで調べた2店舗に写真で意見を聞いてみたけれど、おおよそ150~250万円の修理代になるだろうとのこと。
で全損が決まった。
過失割合は2:8
過失割合はこちらが青直進だったので2,相手方が8となった。
なんで青信号で直進していて過失がつくんだ・・・と若干不満もあったけれど、でもまぁ車を運転するってことはルールを守るのは当然。
ルールを守ったうえで、不測の事態を回避して事故を防ぐ義務がある。
だからまぁ、今回の場合で言えば本当は対向右折車の存在が不明で、回避する余地がないならもう少し減速しないといけなかった。
・・・と、思うことにした。
せめて1:9じゃない?とはまぁ思ったんだけど、こっちも+10km/hくらい速度を超過していた気もするし、毎日通る道なんだから、この交差点の危険性について気づいているべきであった。なので過失2は吞むことにした。
賠償額は43万円
1カ月くらい待たされて、相手の保険会社から
- この車の時価は53万円。
- 過失相殺を除いて43万円賠償します。
- 相手方の車は修理中なので、場合により相殺額が増えて支払いはさらに減る可能性が有ります。
- 車両は引き上げます。
- あなたの代車代・レンタカー代は出せません
という感じの、ふぇ!?という回答。
こっちの保険会社は
- まぁそんなもん。争っても無駄
- そんなことより車両保険を使いましょう。
- 保険価格110万円に全損特約で121万円支払います。
- この先3年間の保険料は約12万円ほどしか上がらないので、109万円得をします。
という回答。
なんか納得いかない。
だってさ、中古で同じようなの探しても180万円スタートだし、ちょっと選んだら200万円こえるやん。
え?43万円しか受け取れなかったら、150万円持ち出しして車買えってこと?
相手は全額保険で修理されるのに?
はぁぁぁあ~~???なんでうっかり八兵衛はしっかり車を修理してもらって、過失が少ない俺は150万円持ち出しなんだよ!?おかしいでしょ!
時価
ちなみに調べたところ、損害賠償における“時価”というのは明確な基準は無い様だ。
保険会社はあたかも決まりであるかのようにレッドブック法や新車価格10%を示してくるが、法的根拠は全くない。
確かに減価償却を無視して購入価格したときの費用満額を主張するであるとか、同等品を手に入れる以上の修理代(中古を買うほうが安いのに修理を要求するとか、修理できるのに新品を要求するとか)といったところは、確かに過去の判例を見ても認められない。
だけど、一般的に見て「一番安く同等品を手に入れるのに要するコスト」は損害として認められるケースが多い。
今回の事例でいえば少なくとも135iの中古車を購入するのに必要な最低限のコストは認められる可能性が高い。更に言えば135iの場合はオートマかMTかで100万円近く差があるので、客観的に見てMTは価値があると主張してMTの価格を請求できる可能性が無くもない。
と、いうことで中古車サイト3社の135i全掲載車の資料をスクショして、重複を排除して価格の分布を分析した。
やはり色・年式には有意な中古価格差は無いが、AT/MTには有意な中古価格差が有るので、同等走行距離のMT車を入手するのに必要なコストを賠償しろと主張することにした。
弁護士探し
というわけで、弁護士ドットコムで弁護士を探した。
自分の保険には「弁護士費用特約」と「法律相談費用特約」が付いていた。
「法律相談費用特約」は無条件でついてくるもので、弁護士に相談する相談料・・・つまり依頼費用(弁護士報酬とか着手金、訴訟費用とか)を除く、単に弁護士に話を聞いてもらうのにかかるお金を保険で払ってくれる。
「弁護士費用特約」は弁護士報酬と着手金について一定の範囲で払ってくれる。ただし、訴訟費用は払ってくれない。
まぁしかし、弁護士さんは話をするだけで金が掛かるので、この2つの特約は凄く心強い。
とりあえず「法律相談費用特約」にも上限があるし、殆どの弁護士さんは初回30分は無料で相談に乗ってくれるので、無料相談の範囲で相談することにした。
一応、保険会社が斡旋もしてくれるらしいが、自分で勝手に探しても良いらしい。
将来別件で弁護士にお願いしないといけなくなった時にも便利だろうということで、地理的に近い順に話をしていくことにした。
1件目の弁護士は「こんなのやるだけ無駄。絶対上がらない。交通事故で物損は争う意味がない」とのこと。
2件目の弁護士は「この場合なら可能性はある。やってみようか?」
なんでも私のまとめた中古車サイトの同等中古車リストを見た感じだと、訴訟すれば53万円よりは断然上がるはず・・・車両保険使うよりも手残りが多くなるかは分からんけど・・・
というので2件目の弁護士さんにお願いした。
「弁護士費用特約」なら話は簡単で、保険会社に「この弁護士さんに交渉を任せたいです」と伝えるだけでいい。
事故車の処分
事故車を預かって貰っていた車屋さんが、次の車これがいいでしょ。ローン組んで買え買えっていうのがやかましいし、なんか態度がおかしくなってきたので、すぐに次の車を買わないので事故車を引き上げたい。という話をしたら豹変。なんか滅茶苦茶横柄な態度になって、すごくショックを受けた。
弁護士に相談したら、先に保管しておく義務はないというので、相手保険会社に処分の了解を取って、事故車買取屋さんに売却した。
最後まで凄い態度だった。もう絶対行かねーからO-RUSH。
その後も保管料の請求の仕方と言い、結局領収書は寄こさないし、もう社会人としてどうなってんの?って営業スタイルだった。
ま、事故車の保管は嫌なんだろうねー。
ちなみに保管料は3カ月で6万円ちょいだった。月ぎめが1万円くらいするエリアだから良心的かとは思うけど・・・。なんかお店のルールか何かで値段は決まってたんじゃないかな。
一方で買取してくれた「事故車・廃車買取 タイロッド」ってお店は凄く対応が良かった。
見積も写真ですぐ出してくれたし、現車見て値段がどうこうとも言わなかったし・・・その他引き取りの対応も丁寧だった。おすすめ。
終戦
で、次の車を探したりしてすっかり忘れていた。家を買おうと思って何百万円も貯めたり投資していたりしたから、数十万円の賠償金が有っても無くてもすぐには関係なかったのだ。
135iのことも忘れることにして、繋ぎの足車に古いZ4を買った。ホントは50万円くらいのを買おうと思ってたんだけど、近所で状態が良いやつを見かけたので100万円で買っちゃった。
1年ほどたったところで、相手保険会社から修理代相当として195万円の損害を認めるから、示談してくれないかという条件を取り付けたとの連絡があった。修理代相当額というのは、廃車は引き上げず処分代は私が持っといていいといことだ。
相手側の修理代やら台車代もいろいろ積みあがって、それと差引して過失相殺込みで140万円ほどの賠償を受けた。
廃車の売却代とか保管費とか終始して、最終的に車と引き換えに受け取ったのは180万円になった。
結局、車両保険は使わず、レッカーと弁護士特約だけを使った。
この2つは使っても等級ダウンしないし、事故扱いにもならないので、保険料も上がらなかった。
保険屋の言うことをそのままハイハイ聞いてたら、えっらい損してたなぁ。ほんと、世の中自分で考えて動かないといけないんだと身に染みる出来事だった。
でもまとめてみると一番得したのは東京海上だったかもな・・・
ゴネたとはいえ、最終的な収支を見てみると、保険会社の言いなり案は私にあまりにも損害が偏り過ぎだと思う。過失割合が相手8だということを考えると、紛争後の結果も大勝利というわけではなく、ごく当然なところに落ち着いた・・・というべきか。