ツーバイフォー木工の基本2/ポケットホールジグ1

こんにちは。
前回はまぁ当たり障りのない内容で、「ツーバイフォー DIY」当たりで調べれば、腐るほど情報があります。
今回から多少私の持論が入ってきます。今回はポケットホールジグをまず買いましょうというちょっと異端な話です。


ポケットホールジグを買いましょう

とりあえず、ツーバイフォー木工の設計を始める前に、ポケットホールジグを買いましょう。その辺のホームセンターでは売ってませんので、通販に頼んで気長に待つ必要があります。

また、電動ドリルドライバも必要です。これもホームセンターで買うと高かったり、意外と置いていません。
例えば私はマキタ(国内で最もメジャーなブランド)の充電式を使っているのですが、何店舗か回っても“取り寄せ”で買えませんでした。これはまた別に触れます。

ちなみに、ポケットホールジグとネジセットの一式で¥10,000くらい掛かります・・・。

ポケットホールジグってなんだ

これもググれば多少情報が出てきますが、ポケットホール工法の道具です。

じゃポケットホール工法とは何か…と言われると、木と木を止める際に斜めに穴を掘って、斜めにネジを打ち込むことで固定する方法です。

いちいち解説するほどの知見はないので、どこか分かりやすいサイトを・・・と思ったのですが、一言でまとまっているところが無いですね・・・。

例えば、こう木の板を4枚組み合わせて「□」を作るとしますよね。(便宜上青い板と緑の板ってことにします。)

これを普通のねじ止めで作ろうと思うと、青い材の小口と対向する形で、緑の材を貫通してネジを打ち込み、共締めすることで締結すると思います。

ポケットホール工法とは、予め青い材に斜めに穴をほっておいて、ここに斜めにネジを打ち込んで、青い材から飛び出したネジ先が緑の材に食い込んで締結するというものです。(この斜め穴がポケットホールというらしい)

実は、ブログを書く前に気合を入れてポケットホールのサンプルを作りました。端材を使ったカットモデルです。
でも、片方に三角形の端材を使ったせいで、何を見せたいのかよくわからんデザインになってしまいました・・・カットモデルとしては、出来栄えとしては悪くないと思うんですけど。
(予め3本ポケットホールを打って、一番端のねじをいったん抜いて手ノコでカットし、ネジを嵌め込んだものです。ヤスリ仕上げじゃなく切りっぱなしです。良い断面してるでしょ・・・このノコも後ほど解説します。)

□の材に垂直に△をねじ止めしている
3か所のうち1か所の断面。薄いが斜めにネジの徹穴が見える

ど素人/下手くそほどお奨め

なぜポケットホールを奨めるか

さて、先の解説を理解いただければ分かると思いますが、“別に普通にネジを打っても作れる”し、むしろポケットホールは内側から打たないといけないので、かえって組み立てにくそうに見えます。

従って、ポケットホールジグというのは一般的に上級者向けの工法です。
そして、その目的は素人向けとか簡単ではなく、“ネジを隠しやすい工法である”という、美観的な利点が主に挙げられています。

しかし、敢えていいましょう。ど素人/下手くそほど買うべし・・・と。
なにせ私がど素人/下手くそだからであり、これのお陰で大物家具が作れるといっても過言ではないからです。

いいですか?ポケットホールジグを使えば
①設計上の制約が減る
②製作が楽になる/失敗しにくくなる。

のです。具体的に説明していきましょう。

通常のねじ使用時の制約

ポケットホールを使わない普通のねじ止めの場合、ネジの打ち込みに制約があります。これが木工に慣れている人には当たり前ですが、慣れていない人には大変面倒なポイントなのです。

例として、ちょっとしたキャビネットを作る例を基に考えてみましょう。
あなたは手始めにちょっとしたキャビネットを作ろうと考えました。「日」の字では出来合いのカラーボックスと変わらないし、ちょっと凝った「田」に近い形状にして、好みの寸法で作りたいと考えました。

例えば、①の形と、収納するものの都合に合わせた②の形が思いついたとして・・・これを作るときには、どっちが簡単だと思いますか?
なんとなく、シンプルな形の①のほうが簡単そうに見えませんか?

実はポケットホールなしで、①の形を作るのはちょっと面倒です。
何故かというと、ネジが直接打てないので、ひと工夫必要だからです。

ネジは反対側に障害物があると打てない

ネジは反対側に障害物があると打てない・・・文字で説明すると難しいのですが、要はT字の部分は一工夫要りますよってことです。
例えば、②の例で板の分割はどうするでしょう。

まぁ、いろいろな分け方が考えられますが、代表的なのは下図の中央図/右図ではないでしょうか。矢印で示す部分、つまり上下の板の分割が違うだけなのですが・・・中央のほうが板の種類が2種類で済むので簡単そうです。

でも、中央のほうは組み立てできません。

どうしてかというと、組み立てていくと下図のような形で手詰まりになります。
左半分の板が邪魔で、右半分の板を付けられなくなるんです。
木工では、組み立てていく順番によって解決する場合もありますが、この場合に限ってはどういう順番で組んでもダメです。

ちなみに、もう片方の分割方法であれば組み立てできます。

このように、木工の場合は組み合わせて成り立ちそうかだけではなく、ネジを打てるかというのも検討しなくてはいけないのです。
そして、この②の場合はまだ組み立てる手段がありますが、①の田の字の場合はどうやってもダメです。

この矢印で示すところがどうしても組み立てできません。

単純にネジを打てないところは別工法

この単純にネジが打てないところは別工法にすればいいだけではあります。
例えば、L字の金物を添えるとか、スプライス(当て板)を介して固定するなどです。
また、強引に斜めにネジを入れてしまうっていう手もあります。しかし、斜めにネジを打つって結構難しいんですよ。

実は、これは古来から木工で悩まれてきただけあって、上級者用に回避する方法は星の数ほどあります。私が読んだ中で最もまとまっているサイトを貼っておきます。

前述の金物/スプライスも良いのですが、キャビネットとして使用する場合、収納エリアにせり出すことになり、収納と干渉したり傷がついて好ましくない場合が良くあります。材料や部品も必要ですしね。

私が最も美しいと考えるのは「大入れ」という工法で、例で言うと緑の板に溝を掘って、青い板を溝に嵌めてしまう工法です。これは溝を切る工具があればできます。数万円で手に入る手軽な部類の工具ですが、音と粉塵的に集合住宅では辞めたほうが良いです。

あとはダボ継が比較的簡単な手法ですが、これは接着剤してしまうので、恒久的な製品には構わないですが、私の考えるすぐバラせる木工には適しません。

基本的に、
接着せず
爆音の工具が不要
出っ張らない
工法っていうのは、ポケットホールくらいしかないです。

ポケットホール併用なら簡単

そこでポケットホールを使えば簡単です。反対側から打ち込むためです。
先の例のどの板分割にした場合も、組み立てることができます。


工夫するのがDIYの醍醐味とは言いますが、とりあえず初心者としては、理屈はいいから、思い描いた形が実態になってほしい訳です。
そんな時、ポケットホールを使うと、様々な設計上の落とし穴を回避できますよ・・・ということなんです。

意外と図が嵩張って記事が長くなってしまったので、製作が楽になるってことは別に解説します・・・

おしまい

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