かまぼこ屋が魚を買えないのは増税のせい?

こんなことを言うと怒られるかもしれないけど、重税で貧困だ!減税しろ!って言っている人って、なぜか同時に弱者・中小企業を保護しろ!って言うんですよね。よくわからん。

というのも、こういうブログの記事というか、愚痴があったのですよ。
税金のせいでかまぼこがって言うけど、なんかそりゃ違うんじゃないかなぁと私は思ったわけです。

そして、度重なる増税と失政により国民全体が貧困になり、買うことができなくなり、海外に奪われているということが起きているのである。

http://blog.livedoor.jp/yasunariokabe/archives/6070144.html

かまぼこ屋が魚が高くて買えないという話なんだけど、そりゃ海外のほうが高ければ高い方に卸すよね。本当は輸送費とかを考えれば国内のほうが有利なのに競り負けているんだからしょうがない。

なんで「かまぼこ屋が魚が高くて買えない」というかというと、魚に高い値段を付けられないからであって、なんで高い値段が付けられないかというと、おそらく「商品の利幅が少ないから」かと。(生産設備にお金を掛け過ぎているとか、役員や従業員の報酬が高いとかって可能性は無しにして)

だから本当は魚が仕入れられないなら、かまぼこを値上げして魚を仕入れる費用を稼がないといけない。しかし、値上げしたら客がかまぼこを買えなくなる(買ってくれなくなる)から値上げできないんで、商売辞めますわ・・・って話ですよね。値上げしたら買えないのはみんな貧しくなったからで、魚が高いのもかまぼこ屋のせいじゃないって理屈は分かる。

でもさ、ちょっと待ってよ。かまぼこって10万円も20万円もするものじゃないじゃん。
仮に1パック1,000円のかまぼこが1パック2,000円になったり、ハーフパックで1,000円になったりするって話で、それで「かまぼこ要らんわ」ってなるのは貧しいから買えないんじゃなく、そこまでお金出すならほかのもん買うわっていう、ただの選択じゃないのか?
単に、みんなの中でカマボコの重要度が下がったんじゃないのか??
(お金があれば買うんじゃいって言っても、そりゃ誰だって潤沢にお金が有ったらかまぼこに限らず何でも買うがな。)

実際、自分は実際かまぼこって買わないから、この文を書いていてピンと来なかった。
最近買ったのって、富山に行ったときに道の駅で売ってた「おめで鯛かまぼこ」くらいだし。

http://eihokaku-net.shop-pro.jp/?pid=86708593

そこで調べたら、例えばここに水産練りものに1年間1人当たりどのくらいお金を使うかの統計データがあった。

https://www.nikkama.jp/deki/consumption/

このデータで行くと、かまぼこは一人平均3,173円/年ほど買うそうだ。収入の無い子供なども食べることも考慮して、日本の平均世帯人数2.27(すげー数字だけど、それほど家庭は減っているのだ…)を掛けても7,202円/年だから、だいたい月々600円ってとこだろう。
これが2割増しとか、5割増しになって、月々120円や300円支出が増えてやべーってなるなら、もう別次元の問題でしょう。かまぼこなんて量食べるものじゃないから、本当に欲しくて高いなら量を減らすだけだろうし。

じゃなんで値上げできないんだ?って考えると、そもそも需要が無いんじゃないのか。
つまり、みんな「安いなら食べるけど・・・わざわざ食べないわ。」的な感じなのでは?
さっきのサイトのデータをさらに引用すると、総生産トン数が

平成5年では19万トンあったのに、令和4年では6万トンになっているから3割くらいに劇的に市場がシュリンクしてしまったわけですよ。

ここで面白いのが、先の一人当たりがかまぼこに使うお金の額が、平成5年→令和4年で7割程度にしか減っていないということです。人口自体は平成5年と令和4年がだいたい同じ1.27億人だったから、人数的には大して変わっていないのに、払う金額は3割減で、食べる量は7割減なのです。
逆にいうと、単価は2倍以上になっているはずです。

実際、ここの小分け品の相場推移などを見ても、2015年(平成27年)~2023年の間だけで、3割も単価が上がってます。平成5年(1993年)まで外挿したとして2倍程度変動していてもおかしくはない。(実際はデフレもあったしデータを見るべきだが・・・)

https://jpmarket-conditions.com/1153/

また、動画では日本の魚が高いっていうけど、豊洲市場のスケトウダラ市況をみるとkgあたり400円前後(2023年7月だけ700円/kgの異常値を記録しているが)で、

https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp011013999600100340/3

輸入スケトウダラの単価は300-500円/kgと大きくは変わらない

https://www.nissui.co.jp/ir/market/pdf/03_market.pdf

最近は高くて買えん!という論調だから、昔は輸入スケトウダラがもっと安かった(100円/kg以下とか?)のだろうか?
また、国内の価格はすり身じゃないから、すり身にする損分や加工費を加味すると何倍にもなるのだろうか?それとも、動画を作った時がちょうど2023年7月で、暴騰のただなかだったのだろうか?

というか、上の卸値の統計のデータを使うと、かまぼこの小売価格って100gで150円前後だから、1kgのかまぼこの小売価格はたったの1,500円ということになる。
かまぼこってタラ100%じゃないんだろうけど、ほぼタラだとしてキロ300~500円のタラを使ったら、原料費だけで20~35%くらいあることになる。この単価はかなり苦しい。


結局は、かまぼこ需要の縮小で過当競争になっているんじゃないのかな・・・だから、増税だとか外国がどうだこうだの問題じゃないんじゃないかと思うんだけど、違うかなぁ?
データもガバガバだし、私自身食品周りの市場原理に疎いから、全く見当違いかもしれない。でもショートだけ見て「かまぼこ!増税!インボイス!けしからん!」は違うんじゃないかなーと思う。

あと、個人的に妙だなと思ったのが、1年あたりのかまぼこ消費量。かまぼこは一人平均3,173円/年というけれど、過去1年間の我が家の家計簿を検索しても、かまぼこを買った履歴が無い。なんか、疲れている日にかまぼこを調理して、“板”を削いでかまぼこに”木”が含まれてたなんてのは覚えているんだけど・・・ありゃ去年の鍋じゃなく、一昨年の鍋か?とにかく、妙だ。

我が家だけ特別にかまぼこ消費量が少ないのか、
知らず知らずのうちに消費している(例えば外食に含まれているかまぼことか・・・うどんとか、茶わん蒸しとか)か、
イベントの時に1年分を消費している(冠婚葬祭とかおせちとか)のか・・・

或いは世帯構成の問題で、上の世代は毎日のようにかまぼこを食べているとか、子供の給食にはかまぼこが一杯含まれているとか?

これはちょっとよく分からないな。

あと、もう一つ。市場はシュリンクしているといったけれど、この分類表を見てもらうと「その他」だけ2万トンから12万トンに増えている。

「その他」ってなんだ?
同じサイトの「かまぼこ製品図鑑」にはその他の項目は無い。それに、私が思いつく様な練り物っぽいものは全て「その他」以外のカテゴリーで網羅されている。

https://www.nikkama.jp/zukan/

もしかして、冒頭私が

最近買ったのって、富山に行ったときに道の駅で売ってた「おめで鯛かまぼこ」くらいだし。

http://eihokaku-net.shop-pro.jp/?pid=86708593

と述べているが、このような「細工かまぼこ」などのことなのだろうか?「かまぼこ製品図鑑」に無いし。これなら日常的に食べるものでは無く、贈答品/冠婚葬祭用品のようなものだから、食の変化を受けにくいとは思うが・・・でも「かまぼこ」の生産量の倍もあるのはちょっと変な気がする。

仮に「細工かまぼこ」が「かまぼこ」の2倍も流通しているなら、「かまぼこ」がいかに少ないかってことに・・・待てよ。かまぼこの生産量が64,491トン/年で、人口が1.22億人だから、一人当たり5.29×10^-4トン/年・・・0.52kg/年/人か。月当たり44gだから、若干多いような気もしつつ、だいたいイメージに近い。だから想像以上に「かまぼこ」が食べられていないわけでもなさそうだ。じゃあこの倍食べていることになっている「その他」ってなんなんだろう?


結局いかがでした系みたいな何の中身もない、チラシの裏みたいな日記になっちゃったけど、こうなんでも「税金のせいだ!物が高い安くしろ」ってのを見ると反射的にイラっとしちゃう。特に自分より年上っぽい人が書いていると。

税金が高いのはもうしょうがないでしょう。働く人が減って老人が増えて、老人の寿命がガンガン延びているんだから。医療も発展して、昔なら死んでた人が、お金を掛ければ生きていられるようになったんだから。税金で命が買えるなら良いじゃないですか。みんなで貧困しても、みんな死ななければ。

物が高いのだってしょうがない。何せあれだけコロナで円を薄めたんだから、お金の価値が下がって当然でしょう。やるべきことは安くしろじゃなく、高く買ってもらう、高く買ってあげる方法を考えることじゃないのかな。簡単じゃないけどね。
それに比べて、税金やら政治のせいにするのかは楽だけど、楽な道ってのはたいてい罠だからなぁ。

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